住吉物語

国語史・日本語史周辺(日本文学・日本史・言語学などなど)の覚書です。
最善の説を記録しているものではありません。変な説も記録しています。
書誌として不完全です。
項目の形に規準はほとんどありません*
「検索」ボタンを活用して下さい。 岡島昭浩がやっております。 一部、JSPSの15H01883,18520354などの恩恵を受けております。

住吉物語

http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/kokusyokaidai/s3/kokusyo_su019.html

むかし中納言にて左衞門のかみかけたる人侍りけり。うヘニ人をかけてそ通ひ給ひける。一人はときめく諸大夫のむすめ、その腹に女君二人いできたまへり。いま一人はふるき宮腹の御女にておはしけるが、いかなるすくせにて【如元】この中納言よなよな通ひ給ひけるほどに、やがて人目もつゝまずなりて、すみわたり給ひけるが、ひかるほどの女君いでき給ひける。おもひのまゝをれば、おぽしかしづき給ふことかぎもなし。姫君日かずふるまゝに、おひいで給へり。年月かさなりて八つばかりになり給ひける年、母宮れいならず惱み給ひけるが、日を經て重くのみなりまさり給ひければ、中納言に聞え給ひけるやうは、「我はかなくなりなば、このをさなきものゝため、うしろめたうなむ侍るべき。われなからむあとなりとも、なみなみならむふるまひせさせ給ふな。いかにもいかにもみかどに奉らせたまへ。ことむすめたちにおぼしおとすな」となくなくきこえ給へば、中納言もうち泣き給ひて「我もおなじおやなれば、おとりてや」などかたらひつゝ、明しくらすほどに、世のあはれにはかなく常なき所なれば、なさけなく昔がたりになりはてにけり。中納言おなじ道にと悲み給ひながら、後々のわざもさるべきやうにしで、四十九日もほどなりはてぬれば、もとの北の方へわたりたまひにけり。姫君をさなき御心ちに、ことの葉につけて、こ宮の御事をおぼしつゝかなしみ給ひてけるに、中納言さへわたり給ひぬれば、いとゞつれづれかぎりなく、二葉の小萩露おもげなりければ、御めのととかくなぐさめてぞ過しける。

http://uwazura.seesaa.net/article/45779583.html

* はてなダイアリーキーワード:住吉物語

書籍からの画像で注記のないものは、著作権法上の「引用」の範囲内であるか、著者の著作権が切れて刊行後五十年以上経っているものである筈です。