国語史資料の連関 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2012-03-19

[]漢語の氾濫 漢語の氾濫 - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 漢語の氾濫 - 国語史資料の連関 漢語の氾濫 - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

今日ローマ字の採用、国語の平易化等が問題となつて居る時、あまりに濫用されて居る漢語――特に最近十数年の間、漢語といふよりは漢字を組合はせただけのやうな生硬蕪雑な言葉が多く新造されて居るが――を追放する為にも、江戸時代語の研究は多くの寄与をなし得るにちがひない。そこには民衆の生活にしつくりはまつた、安らかでしかも美しい言葉がいくらでも見出される。又漢語の制し難い氾濫は、日本語の造語力の貧弱に因るとも見られるが、これとても民衆言葉に少し気をつけて見れば、日常の用語には殆ど不便を感じて居ないのである。


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2011-04-21

[]鶯亭金升『明治のおもかげ』漢語を使う奴は嫌いだ 鶯亭金升『明治のおもかげ』漢語を使う奴は嫌いだ - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 鶯亭金升『明治のおもかげ』漢語を使う奴は嫌いだ - 国語史資料の連関 鶯亭金升『明治のおもかげ』漢語を使う奴は嫌いだ - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

 また幇間を伴《つ》れて遊びに行った客が、向うから来た娘が美しいのを見て立止ると、幇間が、

 「旦那、素敵な別嬪《べつびん》ですネ」

と言うと客は変な顔をして、急に歩みを早めながら、

 「帰れ帰れ、俺《おれ》は漢語を使う奴は嫌いだ」

と言ったそうな。明治初年頃にはこんな客があった。

明治のおもかげ (岩波文庫)

明治のおもかげ (岩波文庫)

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2010-01-05

[]「東京にいる田舎者のこしらえた言葉だ」(永井荷風「十日の菊」「東京にいる田舎者のこしらえた言葉だ」([[永井荷風「十日の菊」]]) - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 「東京にいる田舎者のこしらえた言葉だ」([[永井荷風「十日の菊」]]) - 国語史資料の連関 「東京にいる田舎者のこしらえた言葉だ」([[永井荷風「十日の菊」]]) - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

 「[...]電車の中で小説を読んでいるような女の話を聞いて見たまえ。まず十中の九は田舎者だよ。」

 「僕は近頃東京の言葉はだんだん時勢に適しなくなっで来るような心持がするんだ。普通選挙だの労働問題だの、いわゆる時事に関する論議は、田舎訛がないとどうも釣合がわるい。垢抜けのした東京の言葉じゃ内閣弾劾の演説も出来まいじゃないか。」

 「そうとも。演説ばかりじゃない。文学も同じことだな。気分だの気持だのと何処の国の訛だかわからない言葉を使わなくっちゃ新しく聞えないからね。」

 唖々子はかつて硯友社諸家の文章の疵累を指麺したように、当世人の好んで使用する流行語について、例えば発展、共鳴、節約、裏切る、宣伝というが如き、その出所の多くは西洋語翻訳に基くものにして、吾人の耳に甚快らぬ響を伝うるものを列挙しはじめた。

 「そういう妙な言葉は大抵東京にいる田舎者のこしらえた言葉だ。そういう言葉が流行するのは、昔から使い馴れた言葉のある事を知らない人間が多くなった結果だね。この頃の若い女はざっと雨が降ってくるのを見ても、あらしもよいの天気だとは言わない。低気圧だとか、暴風雨だとか言うよ。道をきくと、車夫のくせに、四辻の事を十字街だの、それから約一丁先だのと言うよ。ちょいと向の御稲荷さまなんていう事は知らないんだ。御話にゃならない。大工や植木屋で、仕事をしたことを全部完成ですと言った奴があるよ。銭勘定は会計、受取は請求というのだったな。」

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2010-01-04

[]「当世人の言語一として新聞記者の口吻に似ざるはなし」(永井荷風「桑中喜語」「当世人の言語一として新聞記者の口吻に似ざるはなし」([[永井荷風「桑中喜語」]]) - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 「当世人の言語一として新聞記者の口吻に似ざるはなし」([[永井荷風「桑中喜語」]]) - 国語史資料の連関 「当世人の言語一として新聞記者の口吻に似ざるはなし」([[永井荷風「桑中喜語」]]) - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

人おのおの好むところあり。下戸あり。上戸あり。上戸の中更に泣くものあり笑ふものあり怒るものあり。然れども下戸上戸おしなべて好むところのものまたなきにあらず。淫事即これなり。当今の人これを呼んで性の要求となす。なほ車夫の四辻を十字街といひ芸妓の手踊を舞踊とよぶが如し。当世人の言語一として新聞記者の口吻に似ざるはなし。厭ふべきなり。

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2010-01-01

[]永井荷風「狐」 永井荷風「狐」 - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 永井荷風「狐」 - 国語史資料の連関 永井荷風「狐」 - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

 田崎というのは父と同郷の誼みでその頃私の家に学僕に住込んだ十六、七の少年である。しかし如何にも強そうなその体格と肩を怒らして大声に漢語交りで話をする処から私には立派な大人のように見えた。

……

書生の田崎が例の漢語交りで、「坊ちゃんこの通りです。天網恢々疎にして漏らさず。」

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