国語史資料の連関 このページをアンテナに追加 RSSフィード

間違い・不足などがありましたら、せせら笑って済ませずに、コメントを頂くか、よりよいものをどこかで公開なさっていただければ、幸甚至極です。

2007-06-19

[]うしほ うしほ - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - うしほ - 国語史資料の連関 うしほ - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=55012373&VOL_NUM=00001&KOMA=46&ITYPE=0

潮をば古語にはシホといひしを、倭名鈔には、潮字読てウシホと云ひけり。シホといひし義不v詳。ウシホといふは、海潮《ウシホ》也。古事記には海塩としるしたりき。食塩をもシホといへば、其名を分ち云ひしなるべし。朝を潮といひ、夕を汐といふとみえたれば、アサシホといふは潮にして、ユフシホといふは、汐にてこそあるべけれ。


亀井孝 Chinese borrowings in preliterate Japanese*

亀井孝古事記はよめるか」


倭訓栞

http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=41021263&VOL_NUM=00001&KOMA=170&ITYPE=0


名語記

海のウシホ如何 潮也 ウミ シホ也 海塩也 又 ワクシホ ウクシホの義也


和字正濫鈔

http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=55008091&VOL_NUM=00000&KOMA=132&ITYPE=0

焼たる鹽にむかへて、海鹽《ウシホ》といへる歟


箋註和名抄

http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=53010370&VOL_NUM=00001&KOMA=56&ITYPE=0

トラックバック - http://kokugosi.g.hatena.ne.jp/kuzan/20070619

2002-08-02

[]東雅総論(32) 東雅総論(32) - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 東雅総論(32) - 国語史資料の連関 東雅総論(32) - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

漢土の方音。韓地の方言の如き。此間の語となりし例は。前にもしるせり。又我書の中に。其義を釈せしも見えたり。梵語の此間の語となりし例。其一二をこゝに挙つべし。たとへば猿をマシラといひ。杜鵑をホトゝギスといひ。水をアカといひ。南風をハエといひ。界をタツキといひ。焼をタクといひ。殕をカビといひ。斑をマダラといひ。曲鈎をハリといひ。調布をテヅクリといひ。杖をカセヅエといひ。智をサトシといひ。愚をヲロカといひ。盛なるをサカエといひ。生をカリといひ。本事あるをサダカといひ。本事なきをサダカナラヌといふの類。また尚多かり。

マシラは摩斯咤也。ホトゝギスは別都頓宜寿也。アカは阿伽也。ハエは婆臾也。タツキは駄都也。タクは陀呵也。カビは迦毘羅也。マダラは曼陀羅也。ハルは婆利也。テツクリは頭鳩羅也。カセツエば刺竭節也。サトシは薩〓[土垂]也。ヲロカは阿羅伽也。サカエは遮迦越羅也。カリは歌利也。サタカは闍陀伽也。是等の外。天をソラといひ。昼をヒルといひ。洲をシマといひ。船をフナといひ。量をハカリといひ。鬘をマルといひ。曲をマガルといひ。母をヲモといひ。残賊をアラといひ。玲瓏をユラといふが如きは。旧事紀古事記日本紀等にしるされし。上世の言に似たる事もあれば。世の疑をも貽しぬべき事なり。されど梵にいふ所と。此にいふ所と。其声音を併せ見るに。正しく彼と此との語の相似たるにもあらねば。上にしるせし所の如く彼語を取りて此語となせし類とは同じからず。ソラは素洛也。ヒルは彌楼也。シマは四摩也。フナは浮嚢也。ハカリは怯梨也。マルは摩羅なり。マカルは摩渇羅婆也。ヲモは阿摩也。アラは阿羅也。ユラは吉由羅也。又これらの外。俗諺にある所の如きは。悉くに挙べからず。

今の俗にいふ所の如き。其一二をしるして例となすなり。たとへぱ主をダンナといふは檀那也。翻して布施といふと見えたり。友をシルヒトといふは。尸利密多羅也。翻して吉友といふと見えたり。威勢あるをイカメシといふは郁伽也。翻して威徳といふとみえたり。癡なるをバカといひ。無知をバカラシなどいふは。慕何を翻して。癡といひ。摩訶羅を翻して無知といふと見えたり。理に合ふ事なきをスダラナシなどいふは修多羅也。翻して契経といふと見えたり。手重きをモダラツクなどいふは母陀羅也。結v印手をいふなりと見えたり。判決をサバクといふは沙婆珂也。善説をいふと見えたり。髪を除くを髪をスルなどいふは周羅也。頂留2一髻。余髻皆除也と見えたり。〓眼をヒガラメといふは。賓伽羅也。翻して青目といふと見えたり。癩疾の人をカハラモノといふは迦摩羅也。翻して癩病といふと見えたり。窃盗をスリといふは朱利草也。翻して賊といふと見えたり。死に近きをアナバタとふは阿耨波陀也。翻して不生といふと見えたり。又蛙蛤の類にアサリといふものは。肉舎利の謂と見えたり此ものには其珠の殊に多きものなり。又サモシキ。ヒスシなどいふが如きは。僧家自ら称して貧道といふがごとし。サモは沙門也。ヒスは芯蒭也。是等の類最多し。古の時。僧家に相謂ひし所の。俗間にも其語を伝へし。猶今も残れるなるべし。


(総論以上)



翻訳名義集』参照のこと。

トラックバック - http://kokugosi.g.hatena.ne.jp/kuzan/20020802

2002-08-01

[]東雅総論(31) 東雅総論(31) - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 東雅総論(31) - 国語史資料の連関 東雅総論(31) - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

海をよびてワタといふが如きは。我国太古の言に見えたり。然るを韓地の方言なりといふ事。聞く人の疑を貽すべければ。其事の由をこゝに註するなり。日本紀の例。凡地名の如きは国史撰述の時の名によられしといふ事あり。これは見る人に。便りあるためのみにもあらじ。旧名既に隠れて失せにしかば。今いふ所によりて。記るされし事もありとみえたり。それが中。海をよぴて。ワタといふが如きは。伊佐奈岐伊佐奈彌の二神。生み給ひしといふ神の中に。大綿津見神綿津見神といふの見えしを。海神をいふと見えけり。又太古の俗。其国其神を生み給ひしなどいひしは。或は其国を開き。或は其国を平《ム》け給ひて。其君と立てしをいひしとも見えたり。さらば韓地の如きも。かの二神の代に。或は開き或は平《ム》け給ひしに。その海外にある所なれば。其方言のまゝに。これを呼びてワタといひ。其君をツミとは云ひしなるべし。ツミとは猶地祇といふが如し。後の代に至りて。秦韓の人のこゝに来りしに。姓賜りて秦公読てハダノキミといひしも。また猶ワタツミといひしが如くなりしと見えけり。されど是等の事は。其徴とするに足れる者もあらねば。しぱらく置きて論ぜず。素戔嗚神の天降りませし時。韓地を過て出雲国に至り給ひしといふ事の如きは。本朝の国史に見えし所なり。其後また新羅任那狛国等の人。こゝに来りし事ども。神功皇后新羅を征し給ひし時を待ちしにはあらず。さらば此間の語かしこにも伝り。かしこの言の此間に伝はれる。其因来る所。世すでに久しき事にぞ有ぺき。古言のかしこに出しあらむ。疑ふべき事にしもあらず。

ましてや六経の相伝はれるに及びて。百済の博士等。各其学をもて来り伝へたらむ。其方言の此間の語となりし少なからず。なを今も朝鮮の方言の。其徴とすべきあるは。論ずるに及ばず。其徴とすべきなきが如きも。古今の言風俗と共に移り易りぬる。彼此ともに又同じ。ましてや三韓逓ひに興り亡ぴて。即今の李氏に及びたりしかば。彼古言の今に遺れるもの多かるべきにもあらず。我書に。韓地の方言なりといふものあるが如きは。日本紀に見えし所によりしもの少なからず。



東雅総論(28)

トラックバック - http://kokugosi.g.hatena.ne.jp/kuzan/20020801

2002-07-31

[]東雅総論(30) 東雅総論(30) - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 東雅総論(30) - 国語史資料の連関 東雅総論(30) - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

古言の義。猶今も遺れるものあるは。亦その幸にぞありける。たとへば猶此樹を伐りて彼枝を接ぐに。彼枝既に長じて。樹となりぬるに及びて。此樹はたゞ其の根株のあるのみなり。されどまた江南の橘。踰v准而自変為v枳といひし事もあるなり。彼字の如きも。もとこれ此国に出し所ならねど。其声音の自ら転じて。此間の声音の如くになりしは。その然る事をも期せずして。然る所の者ありしとこそ見えたれ。


トラックバック - http://kokugosi.g.hatena.ne.jp/kuzan/20020731

2002-07-30

[]東雅総論(29) 東雅総論(29) - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 東雅総論(29) - 国語史資料の連関 東雅総論(29) - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

古語拾遺に。書契以来。浮華競興。顧2問故実1。靡v識2根源1といひし誠に然なり。我国の古言。其義隠れ失せし事。漢字行はれて古文廃せしに因れる多しとこそ見えたれ。細かにこれを論じなむには。此語と彼字と主客の分なき事あたはず。我国の言。太古の初よりいひ嗣し如きは即主也。海外の言の如きは即客也。漢字盛に行はれしに至ては。其義を併せてかれに随はずといふものあらず。これよりして後。客つゐに主となりて。主はまた客となりたりけり。

和訓栞大綱10

トラックバック - http://kokugosi.g.hatena.ne.jp/kuzan/20020730