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2011-06-04

松下大三郎『改撰標準日本文法』第一編 總論 第一章 言語 第一節 言語本質及び諸相(4) 松下大三郎『改撰標準日本文法』第一編 總論 第一章 言語 第一節 言語の本質及び諸相(4) - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 松下大三郎『改撰標準日本文法』第一編 總論 第一章 言語 第一節 言語の本質及び諸相(4) - 国語史資料の連関 松下大三郎『改撰標準日本文法』第一編 總論 第一章 言語 第一節 言語の本質及び諸相(4) - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

 文語口語 我が日本語には文語口語との二體が有る。言語聲音語として口から耳へ傳へる場合には自由な變遷をするが、文字語として用ゐる場合は聲音語の樣な自由な變遷をしない。

その爲に二つに分れて今日では前者は口語といふ體を爲し後者は文語といふ體を成すに至った。隣邦支那に於ても同樣である。しかし歐米諸國では文語口語の差は甚しくない。

 支那は一には文字が悉く表意文字であるために、文字語は聲音語程の變遷を許さなかつた。二には土地の廣大なために方言の差が甚しく從つて標準語としての文語を支持する必要が有つた。三には古の文化の美は後人をして尚ばしめた。日本文字語の歴史が支那より短いから文語口語の差が少ない。しかし漢文を直譯して讀み漢文でなければ文ではない樣に考へたから文字語は漢文直譯風の支配を受けた。これが文語を生ずる最大原因であつた。次には平安朝文化鎌倉以後の人の羨望する所となつた結果漢文風でないとすれば平安朝風の口調を學ぶことになつた。この擬漢、擬古が江戸時代和漢和文となり、明治以後は多少擬歐をも加へ口語風をも加へて、所謂る現代文となつた。西洋表音文字であるから文字語も聲音語と共に變遷し易い所へ持つて來て自國の上代に大した文化がない。希臘羅馬は早く亡びて英獨佛から見れば外國である。それらが日本支那とは事情を異にする。

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