国語史資料の連関 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2010-04-01

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 軽重 附 行の單複

軽重のこと、華音を知らざれば弁ずべからず。軽重と云は複行の所にある呼法の差別なり【呼法とは字を唱ふる時の口中のはこびを云ふ】韻図に單複行の称あり。或る韻学家の譯に、牙喉半音は單行なり。舌歯は複行。唇は錯雜とあり。牙音喉音半舌音歯音の四音は軽重の差別もなく、一様の呼法なり。故に單行と称す。舌歯の二音は軽重の二法の差別あり

本邦の韻学家、傳へて第一等、四等の二つを重とし、第二等第三等の二つを軽とせり。脣音は錯雜の單行なるもあり。複行成もあり。第一転第二転等は複行なり。第四転第五転は單行なり。然るに此の唇舌歯アイ通じて軽重とすること、大あらめなることなり。委しく別ていへば。心音ばかりに軽重の義明かなり。幇滂並明【】此四母は是を唱ふるに唇にさわること重し。非敷奉微此の四母は是を唱ふるに唇にさわること軽し。故に軽重の名目あり。

舌歯の二つ如此に別れず。舌音端透定泥の四母。もと舌頭音とす。此等は舌をゆるがして舌のはづれの方より出る音なり。知徹澄嬢の四母。もと舌上音とす。此等は舌をちぢめて舌の上づらより出る音なり。同じく舌より出る音といへどもかやうの二様なり。きっと軽重に別るには非ず。本邦の韻学家舌頭音は舌に當ること重く舌上音は舌に当たること軽き故に軽重を分つならん。

歯音精清従心邪の五母は舌を下の歯のはづれにもたしかけて音を起し、上の歯のはづれにさわって出る音なり。故に歯頭音と云。此五母も又細かに別てば、心邪の二母の音は歯うごくこと軽し。故に細歯頭音とす。

照穿牀審禅の五母は正しく歯の中間より出る音なり。故に正歯音と云。此の五母も又細かに別てば。審禅の二母の音は、心邪の如く音軽し。故に細正歯音と云。同じく歯より出る音といへども、かやに二様なり。細かに別てば四様なり。きっと軽重を別るゝには非ず。是も本邦の韻学家歯頭音には歯に當ること重く、正歯音は歯に當ること軽き故に軽重を別つならん。舌歯の二音もと、上に云ごとくなれども自然に一四の二等は重く二三の二等は軽ければ唇に比して是等も軽重を別つこと一理あり。然るに韻学家の訣に單行四等は皆悉く重く。複は一四重く二三軽しと云こと有。單行四等皆重しと云は、何れよりの傳にや。無相師の説にも單行のこと重音と立るなり。何ぞなれば、牙喉半音は一概に其の音を重く用るを以なり。既に軽しと云べき理なければ重しと云はずんば有べからずと云り。

何樣にも見渓群疑影暁匣喩・来日、此十音は、非敷奉微の類に比ぶれば甚だ重く覚ゆるなり。故に無相師の説如此か。すべて此の軽重を分つこと本邦の韻学者様々の説を立つ。然るに華音を知らざるによって、一として理有る説なし。華音を以て軽重を分つは無相師に始まれり

軽重

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