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2007-04-30

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三田村鳶魚江戸文学

   文語より口語

 それから近世文学の大きな特徴は、上方文学江戸文学のいずれでありましても、文語から口語に移ってゆく傾向を持っており、その口語なるものが、また一種の文章をなしております。そうしてこれが本当の言文一致というものであったろうと思われます。言文一致文章というと、明治時代になって、山田美妙とか、二葉亭四迷とかいう人達がはじめたもののようになっておりますが、 実際はそうではない。もっとも世間でいう口語体とか、言文一致とかいうものは、必ずしも口で言う通りに書くのではありません。これは美妙なり四迷なりの文章と、われわれが日常使っている言葉とを比べてみれば、誰にもすぐわかることで、言文一致だからといって、口で言う言葉がそのまま文章になるわけではないのです。

 それが、手紙の満足に書けない吉原のヘッぽこ女郎が、口で言う通りの文章で、お客に手紙を書いた、といって洒落本の中に書いてある。たしか明和安永度の話ですが、大分それを嘲弄したように書いてあります。それが更に洒落本もどきの落語になって残っておりまして、われわれにしても相当おもしろく聞かれるのですが、口語文語との出入りの具合を手早く見せるものとしては、これらのところがおもしろくはないかと思っております。

三田村鳶魚全集 第23巻

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