国語史資料の連関 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2006-04-18

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◎『新聞集成明治編年史』7(p.122) 明治21.8.9 東京日日

今回の臨時府会議案中にある警察署出火報知機械買入の事につき、或る人は議して曰らく、報知機械頗る好し、されども其機たる唯一の出火報知にのみ止まりて其他に及ばず、那の電話機の如き頃刻百里、筆記の労なく翻読の煩ひなし、盗賊や国事犯や天変や地異や、百般の事項一説話を以て足る、豈啻に其用を一方に限りたる報告の如くならんや何ぞ此不便を棄てゝ彼の営利を取らざると、聴く人微笑して答へて曰く、貴説真に其理あり、当務者亦た之を知らざるに非ず、然れども奈何せん、其の局に当る者は多くは是れ、西南薩肥の人に非ざれば東北奥羽の士にかゝる、此の両人士相倚りて或は一方よりズウズウの鼻声鈍く、「今ま国事犯人の脱いた火をつくるかも知れぬ用心さっしゃい」と通報し、又他の一方よりクヤ/\の濁み声にて「此から掏賊狩はじむるド、お前様所かアも出来る丈の人数来せ。」と告知せば其意味果して通じ得べき歟、茲に至りては器機の利も到底其效を見る可からず、されば其筋にても已を得ずして、彼の効能を狭く限りたる報知機械を購入するに決せられしなりとか聞きぬと語れりとかや、姑く一席の笑話として又聞の儘を記す。


星新一『夜明けあと』

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