国語史資料の連関 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2004-11-01

橋本進吉波行子音の変遷について橋本進吉「波行子音の変遷について」 - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 橋本進吉「波行子音の変遷について」 - 国語史資料の連関 橋本進吉「波行子音の変遷について」 - 国語史資料の連関 のブックマークコメント



 國語の波行子音、即ちハヒフヘホの最初の子音は、現在に於てはh音又は之に近い音であるが、古くはF音であり、更に古くはP音であったらうといふ事は、Hoffmann, Edkins, Satow, Chamberlain, 上田萬年博士、大島正健博士、岡倉由三郎氏、金澤庄三郎博士、伊波普猷氏、安藤正次氏など、内外の學者の討究によって、ほゞ明かになった。しかるに、PからFへ、Fからh と轉化したのは果して何時であったかといふ年代上の問題になると、今猶明かでない點が多いのである。そのうち、Fからhへの推移については、前にはHoffmannの外國人の書いた資料に基づく提案があり、近頃また新村出博士の國内の文献による研究があって、室町時代の標準的發音はFであり、Fからhに遷ったのは主として江戸時代に在った事が知られるにいたったが、PからFへの推移の年代については、上田博士奈良朝以前にありとせらるるやうであり、安藤氏は奈良朝を以てその轉換期であらうかと説かれて居るが、まだ定説とする事は出來ないやうにおもはれる。それは、それぞれの時代に於て、たしかにF又はPと發音した事を證明すべき確實な根據がまだ提出せられて居ないからである。

(一) Hoffman; A Japanese Grammer. Leiden, 1868. Introduction p. 15

(二) 波行輕唇音沿革考(雑誌国語国文の研究、昭和三年一月號)

(三) 國語のため第二?(明治三十六年刊)P音考

(四) 古代国語の研究(大正十三年刊)一六二頁以下

http://web.archive.org/web/20040506131504/http://home.q02.itscom.net/tosyokan/data/HASIMOTO024.pdf