国語史資料の連関 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2004-10-12

[]陶宗儀書史會要』洪武九年 陶宗儀『書史會要』洪武九年 - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 陶宗儀『書史會要』洪武九年 - 国語史資料の連関 陶宗儀『書史會要』洪武九年 - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

日本国 於宋景徳三年嘗有僧入貢不通華言善筆札命以牘対名寂照号円通大師国中多習王右軍書照頗得筆法後南海商人船自其国還得国王弟與照書称野人若愚又左大臣藤原道長書又治部郷源従英書凡三書皆二王之迹而若愚章草特妙中土能書者亦鮮能及紙墨光精左大臣乃国之上相治部九卿之列也

曩余与其国僧曰克全字大用?者偶觧后于海陬一禅刹中頗習華言云、彼中自有国字字母僅四十有七、能通識之、便可解其音義、因索写一過、就叩以理、其聯輳成字処、髣髴蒙古字法也、全又以彼中字体、写中国詩文、雖不可読而筆勢従横(縱横)、龍蛇飛動、儼有顛素之遺則、今以其字母附於此云


  い 以【又近移】 ろ 羅 は 法【平声又近排】 に 宜

  ほ 波【又近婆】 へ 別【平声又近奚近靴】 と 多【又近駄】 ち 啼【又近低】

  り 梨 ぬ 奴 る 盧 を 窩

  わ 懐 か 楷【作喉音呼】 よ {竹獲犬}【平声】 た 大【平声

  れ 倈   そ 座【平声又近莎】 つ 土【平声又近屠】 ね 尼【縮舌呼】

  な 乃【平声】 ら 阿頼【頼作平声弾舌】 む 謨 う 烏

  ゐ 伊 の [冉邑] お 和【又近窩】 く 枯

  や 爺【作喉音呼】 ま 埋 け 茄 ふ 蒲【又近夫】

  こ 軻 え 奚 て 悌【平声縮舌呼】 あ 挨【作喉音呼】

  さ 篩【又近柴】 き 欺【又近其】 ゆ 由 め 乜

  み 皮【又近眉】 し 尸【又近時】 ゑ 緊【平声】 ひ 非

  も 摩 せ 蛇【又近奢】 す 疏【又近徂】


 仮如、曰天則云そら、曰地則云ち、曰山則云やま、曰水則云みつ、曰日則云ひ、曰月則云つき、曰筆則云ふて、曰墨則云すみ、曰紙則云かみ、曰硯則云すずり、大意不過如此


参考文献

松下見林異称日本伝』 巻上三 元禄戊辰(1693/9)

小川環樹書史会要に見える「いろは」の漢字対音について」 国語国文 16‐5 1947/09 (『中国語学研究創文社1977に再録)

有坂秀世書史会要の「いろは」の音註について」 言語研究 16 1950/8 (『国語音韻史の研究 増補新版』三省堂1957.10に再録)

渡辺三男中国文献に見える日本語鶴林玉露書史会要について—」 駒沢大学研究紀要 15 1957/03




小松茂美『かな』岩波新書のp149あたりの記述は、読み違えがあるようだ。つまり、この「いろは」の記述を、克全によるものではなく、直前の寂照によるものとしてしまい、それで、十一世紀初期のいろはの記述としてしまっている。(1970年の第六刷による。)

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