国語史資料の連関 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2003-03-06

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 東京大学予備門は大体、もと東京開成学校と東京英語学校の延長ともいふべく、その明治十一年六月改正の教則を見るに、四ケ年を通じて作文および修身の科なく、ただ「和漢学」として、日本地誌要略・国史覧要(第一年)・日本外史・十八史略(第二年)・日本政記元明史略(第三年)・通鑑攬要(第四年)等を課するに過ぎず。

 予備門の生徒は、その系統、すでに洋学に偏し、和漢の学を軽んずること当然なり。それにては、やがて、西洋日新の学を採り、わが邦に利用せんにも、支障あるべしと、早くここに気づきし当局者は、十二年九月、始めて和漢文章主任の教員を置き、同十月、左の小引を付けし、作文科の新教則を発布せり。

文章ノ学識ニ於ケル、猶言語ノ意思ニ於ケルガ如シ、言語有テ而シテ後、以テ己ガ意思ヲ人ニ通ズベク文章有テ而シテ後、以テ己カ学識ヲ世ニ公ニスベシ、|縦使《タトへ》万巻ノ書ヲ看破スルモ、文章ノ業ニ達セサル者ハ、到底儒林ノ暗唖ノミ、豈暗唖ニシテ、完美ノ学士ト称セラルヽ事ヲ得ル者アランヤ、苟モ学ニ従事スル者ハ、文章ノ一日モ忽セニスベカラザルハ言ヲ待タズシテ瞭カナリ、況ヤ欧米ノ学ヲ採テ以テ我国ニ化用セント欲スル者ニ、特ニ先ツ国文ニ熟練スルニ非レバ不可ナルヤ万々矣、曩ニ予備門創設ノ日、国書ノ課程ヲ革メシヨリ、已ニ此ニ閲学年、而ルニ、文章ニ到リテハ、未タ其進歩ノ効ヲ見ス、甚タ遺憾トスル所ナリ、是ニ因テ、今国書教員中、特ニ文章校正主任ヲ置キ、専ラ其業ヲ督奨セシム、庶幾クハ、生徒自奮シ、唯講読ニ汲々タルノミナラス、兼テ文章ニ於テモ、孜々励精シ、以テ学識ト並進シ、遂ニ学士ノ美誉ヲ異日ニ完フセン事ヲ、乃チ文章ノ課規ヲ更正スル事、左ノ如シ云々。


 作文科は、その学級に応じ、漢文または漢文仮名を雑ふる文、往復手簡文を、毎二週にこもごも宿題あるいは即題を与へて作綴せしむることとしたれば、大欠陥はここに修治せられ、この後十四年三月改正の学科課程、および十五年九月の科目改正の学科課程にもまた、一、二、三年を通じて、和漢文作文の課目を忘れざるに至れり。

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