国語史資料の連関 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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1693-02-23

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仮名の様を知らむと思はゞ、先声の出る初の様を知べし。もろこしの韻学は、すべて知侍らず。天竺悉曇《しつたん》も、わづかに梵字をかくやうを習ひたるばかりにて。はか/゛\しき事は知侍らねど。此国は天竺には遠ながら。声はかへりて能通じ。もろこしには。見花見月など、先用をいひて、後に体をいふを。こゝには花を見る月を見るとやうに、先体よりいひ、しかかくさまも、天竺に似たれば、是によりてだに、おろ/\心得侍るやうを申べし。凡人の物いはむとする時、喉の内に風あり。天竺には、此風の名を優陀那《うだな》といふ。此風外の風を引て丹田に下り、腎《じん》水を撃《うち》て声を起す。時。齗歯脣頂舌咽胸《きんししんちやうぜつえんく》の七処に触《ふ》れ、喉内舌内・脣内の所転に依て。種zの音声ありといへども。其数五十音に過ず。唯人間のみならず。上は仏神より、下は鬼畜に至るまで。此声を出す。又唯有情のみにあらず。風の木にふれ、水の石に触るゝたぐひの、非情の声までも、これより外に出る事なし。息の字の。上の自は鼻なり、鼻は息の通する処なり。鼻は肺臓に属す。肺は金なり。金は風の精なれば。同気相感して風を引時も。肺先受る故に、清涕の出るも、此しるしなり。心に从《シタ》がふは。心の動静に随ひて、息に緩急あり。瞋喜の相、さなから息に顕はるゝ故なるべし。密教には此息をやかて心と説ける事あり。一条の息わづかなるに似たれと、寿命これにかゝれり。心と寿命とを全くして起る言語なり。此意をよく知らば。法身仏の常恒演説の法財もまた此一息を出べからず。

沙石集に。「和歌は日本の陀羅尼なり」といへるは。陀羅尼を此には摠持と飜す。無量の功徳を摠摂し。任持する故なり。其中に一字に多義を含《フク》む意をもて。短き和歌の。深き意を含むをかくはいへり。委しくいはゝ。和歌につゞらぬさきの四十七言、早く陀羅尼といふべし。金剛語菩薩を無言大菩薩といふは、言の実相に達すれば。言すなはち無言なり。是を釈摩訶衍論に。五種の言説を明す中に。如義言説といへり。たとへば、鏡の空なれば、まとかなる形。白き色あれと。万像をうつすさはりなきかことし。



和歌は日本の陀羅尼なり



重出

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