齋藤希史『漢文脈と近代日本

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齋藤希史『漢文脈と近代日本

齋藤希史

漢文脈近代日本 もう一つのことば世界

NHKブックス

2007.2

はじめに


序章 漢文脈とは何か  文体と思考の二つの極

  日本漢文脈

  文体と思考の二つの極

  漢文脈の輪郭 地域性時代性から考える

  素養としての漢文

  寛政の改革

  士人意識の形成

  武士と士人の共通性

  漢文学習の様子

  天下国家を論じる文体

  慷慨する幕末の志士

  近藤勇辞世の詩


第一章 漢文読み書きはなぜ広まったのか  『日本外史』と訓読の声

 書きことばとしての漢文 

 学者家系の頼山陽 

 朱子学というシステム論

 「異学の禁」による学問の制度化 

 学問と治世への志向

 歴史叙述という大望 

 『日本外史』の完成 

 ベストセラーの要因

 読みを意識した漢文 

 和習への非難 

 日常言語とは異なる訓読リズム

 訓読音読 

 人々の心を捉えた名調子 

 詩吟の流行

 気宇壮大な漢詩の魅力 

 国民化した漢文脈


第二章 国民の文体はいかに成立したのか  文明開化訓読文

 漢文訓読文の分離 

 明治時代山陽評価 

 三者の評価差異

 普通文とは何か 

 二つの焦点 

 機能性と精神性 

 普遍と普通

 文体としての訓読 

 薄れゆく漢文の精神世界 

 翻訳に適した文体

 実用性が求められた時代 

 今体文=現代文 

 「国民の文章」の成立

 新漢語の大量出現 

 啓蒙の文体

 修辞される訓読文、『米欧回覧実記』 

 風格を備えた今体文


第三章 文学近代はいつ始まったのか  反政治としての恋愛

 「近代文学史」を問い直す 

 明治漢詩壇

 漢詩隆盛の立役者、森春濤 

 精神世界を構成する「公」と「私」

 「私」の世界の充実 

 詩文を愛でる文人的エトス

 文人世界に生きる大沼枕山 

 「政治=公」と「文学=私」の対立

 学問と文学の分離 

 森鴎外の『航西日記

 鴎外の自意識 

 仕/隠という枠組み 

 大仰な修辞

 「舞姫」のモチーフ 

 「功名」と「勉強」の淵源

 恋愛への接近 

 「文学」の再編


第四章 小説家は懐かしき異国で何を見たのか一艶情と革命の地  

 近世における小説のポジション 

 詩と小説の布置

 「情」という主題 

 政治小説と恋愛 

 恋愛小説大全

 小説の主眼は「人情」の模写 

 士大夫官僚の子、永井荷風

 正反対の父と子 

 反撥と継承 

 清国との交流で芽生えた異国意識

 上海の陶酔 

 リアリティをもち始める漢詩文

 漢文脈の中にあった荷風 

 商家生まれの谷崎潤一郎 

 ひたすら美に溺れる

 艶情の舞台としての支那 

 芥川龍之介のリアルな中国

 対照的な谷崎と芥川 

 大正教養主義とは何だったのか


終章 漢文脈の地平  もう一つの日本語へ 

 言文一致体の特徴 

 漢文脈の外部 

 エクリチュールの重心

 新たな文脈と格闘する夏目漱石 

 西洋への対抗原理としての漢文脈

 禅への傾倒 

 知的遊戯としての側面 

 現代における漢詩文

 もう一つの日本語 

 趣味と教養


参考文献 

あとがき 

書籍からの画像で注記のないものは、著者の著作権が切れ、刊行後五十年以上経っているものである筈です。