韻學祕典

国語史・日本語史周辺(日本文学・日本史・言語学などなど)の覚書です。
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韻學祕典

ゐんがくひてん

   韻學秘典  五巻  藤原粛

 韻學に關する論述なり。一巻を續集とす、菅玄同の補ふところなり。元和七年辛酉〔二二八一〕玄同の跋に曰く「按するに、先師惺窩公、慶長丙午〔二二六六〕を以て東山に遊ぴ、長嘯子に謁す、長嘯子一日談じて九弄反紐法に及ぶ、晤語未だ日あらず、先生淺野幸長の懇對に因て、將に紀府に赴んとす、已に長嘯子に別る、因て九弄圖解を爲り、以て長嘯子に示す、是れ其の草稿なり、然れども、反切歸納附圖は、予が新に増す所を以て幼學者をして其の法に疑ふ事毋らしむるのみ」云々といへり。

 ◎藤原粛の傳は「惺窩文集」の下にあり。

http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/kokusyokaidai/i/kokusyo_i094.html

韻學秘典は今内閣文庫に蔵せられる。慶長十一年藤原惺窩木下長嘯子を訪ひて談、九弄反紐法に及んだ。たま/\惺窩は紀府の行が逼つたので九弄圖解を爲りて長嘯子に示した其の草稿によりて玄同が寫したものとの奥書が有るが、九弄圖解は本書の續集で有る。奥書のさし次に「反切歸納の附圖は予が新に増し幼學をして其の法に疑無からしむる所」とも有るから正の四卷は玄同の元和七年(二二八一)の撰だらう。四卷の(一)には假名反切秘傳 (二)には名乗反切秘傳(三)には諸例秘釋(四)には調韻要訣を收めて韻學用語等をも説いて居るが、韻鏡の圖には觸れす何時も「深秘に至りては須らく口傳耳授を受くべく筆墨の能く盡す所に非ず」と逃げて居る。たゞ調韻要訣の漢音呉音法で(標目は今加へたもの)

漢音イ段呉音ウ段 久キウク應イヨウウヲウ  漢音エ段呉音ア段 西セイサイ卦ケイカイ

同 イ段同 オ段 血キョクコク 同ダ行ナ行内ダイナイ農トウナウ

囘 ア段同 イ段 客カク錯キャク 同エ段ウ段元ゲングヮン鶴カククヮク

同 ウ段同 エ段 會クヮイヱ懐クヮイヱ

と類従せしめて居るは面白い。

岡井慎吾『日本漢字学史』

書籍からの画像で注記のないものは、著作権法上の「引用」の範囲内であるか、著者の著作権が切れて刊行後五十年以上経っているものである筈です。