音韻考證

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音韻考證


おんゐんかうしょう

  音韻考證 寫本 二十二巻 黒川春村

漢呉音圖に基きて、漢字音古今正訛を考論したるものなり。凡例中に曰く、「春村いまだ若かりしほど、太田氏の漢呉音徴を見しより、其の委曲なる心づきに驚駭き、其の後は見るに従ひ、筆にまかせて爪じるし爲しつるが、三十餘の歳月を経しかば、いつしか机上に積りにたるを、此の頃はからざる心のすゝみに、此の稿草をは思ひ起るなりけり。字音に一字に衆音ありて、漢音あり、呉音あり、漢呉に拗、直、疾音あり、上略、中略、下略音あり、又古音あり、今音あり、轉音あり、轉韻あり、郷音あり、唐音あり、倭音あり、訛音あり、如此許多の音ありといへども、古音、今音、以下の衆音に、巻中に、皆一音と標して、古今轉訛の紛らはしき類に、偶、其の字下に註する加見るべし」云々といへり。文久二年壬戊〔二五二二〕五月成りたりといふ。本書一名を「皇國譯音」また「皇國釋音」といふ。

黒川春村は「神名帳考證土代附考』の下に傳す。

http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/kokusyokaidai/o/kokusyo_o052.html

音韻考證 おんゐんかうしょう 語學書 巻数不定

【別名】「皇國釋音」「皇國譯音」

著者黒川春村

成立文久二年

諸本・内容】赤堀氏の「國語學書目解題」に出て居るのは、二十二卷本であるが、他に一卷本が二種ある。一は序も跋もなく、内容は、

(一)大意

(二)古音

(三)二音讀.

(四)清濁

(五)三内聲、

(六)連聲

(七)唇舌通用、

(八)轉音

(九)んむ字、

(一〇)韻鏡

(一一)悉談

の十一章に分け、日本古代に用ひた漢字の音韻を研究したものである。

一は、白井寛蔭の序(文久二年九月)があり、凡例の終りに、文久二年五月とある。

音韻考證凡例」と標して「字音は一字に衆音あり、其衆音ある事を.豫メ意得たらねば、目馴たる常呼轉音等に拘泥《なづみ》て、却て漢呉の正音を、轉音にやなど惑ふ事あり(中略)、まづ漢音あり呉音あり、漢呉に拗直疾音あり、上略中略下略音あり、古音あり今音あり、轉音あり轉韻あり、郷音あり唐音あり、俗音あり訛音あり、(中略)但如此標せるは、其大較の目にして、古音即郷音なる、郷音即唐音なる、唐音轉音なる、轉音俗音なる類、互に通じて一定しがたく、判然とは決め難きものあり」と云ひ、また反切の法を等閑にすべからずと云つて居る。

次に、「皇國釋音音韻考證凡例」と標して「皇國の古典をおろおろ讀解むには、古音をも普く索《さぐ》りて、其|易《やす》らかに讀得べき限は、異《こと》やうならずよまゝほしき業なり。さるを假令日本書紀に、茂羅玖毛《モラクモ》と見ゆるは聚雲《ムラクモ》なるを.モラクモとよみ、(中略)萬葉の眞祖鏡《マスカヾミ》をもマソカ丶ミとのみ呼なれたる類、古書どもに許多《そこばく》見ゆるは、ただ後世の常呼に目馴れて【常呼或は通音との云ふべし】故人の字音に密なりし事をば、さる所以ありとも思ひたどらず、古言は今と異なるものなど、なほざりに思ひ過せる、先輩の失にぞありける」と云ひ、自分は古言音韻の事を研究すること三十餘年になつた。その間の藁案をこゝに整理したのである。

さて音韻の書は數部あるが、漢呉音圖(別項)が最上である。それは喉舌唇三内の韻を分ち縱横貫通の發明を規矩とし、假字遣も正しいからである。この漢呉音圖を基とし諸書を參酌して音韻を研究したものが、本書であると云つてゐる。本文は、蓬・蒙・風・楓等から、勠・戎・肉等まで、約百四十の字について諸書を考證して音韻を研究してゐる。附録として支那日本に於ける韻鏡の來歴を記し、享祿本以下「韻鏡發輝」まで三十六種の韻鏡解題し、(但この解題岡本保孝の研究を春村が増訂したもの)、次に十六通攝攷、古音傳來辨、尾音ノ説.拾遺集物名紅梅假字辨、英人艾約瑟が音韻の説等について記して居る。

なほ「音韻考證緊要鈔」と題する一冊がある。「享祿韻鏡」「磨光韻鏡」(別項)「韻鏡易解」(盛典著)「字音假字用格」(別項)「漢呉音圖」(別項)等の異同を比較し.正誤を論じたものである。本書は草稿のまゝで傳はつたものらしく、前記一册本の如き.「緊要鈔」の如きはその一部分であると思はれる。

【價値】本書は前記の如く「漢呉音圖」を初め.音韻に關する諸書を比較研究し、その結果を以て、我が上代漢字音假名遣に資したので、研究としては「漢呉音圖」よりも一歩を進めたものと云ふ事が出來る。      〔龜田〕

http://blog.livedoor.jp/bunkengaku/archives/25249649.html

音韻考證 巻数不定

 「皇國釋音」「皇國聲音」などゝも言ふ。黒川春村の著で文久二年頃成る。本書は草稿のまゝで傳ったと見え巻數も一定せず、著者の新居守村?に答へた言には四十有餘巻とあり、又赤堀氏の國語學書目解題には二十二卷とあるが一巻本もある。「漢呉音圖」(前出)を基として諸書を參酌して音韻を研究し我國上代漢字音假名遣に資したのであって研究としては「漢呉音圖」を一歩進めたものと云ひ得る。

亀田次郎国語学書目解題」)


http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/syomokukaidai/a/kaidai_a060.html

書籍からの画像で注記のないものは、著作権法上の「引用」の範囲内であるか、著者の著作権が切れて刊行後五十年以上経っているものである筈です。