野村胡堂「鈴を慕う女」

国語史・日本語史周辺(日本文学・日本史・言語学などなど)の覚書です。
最善の説を記録しているものではありません。変な説も記録しています。
書誌として不完全です。
項目の形に規準はほとんどありません*
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野村胡堂「鈴を慕う女」

野村胡堂

銭形平次捕物控



弁慶読み

「――エー、鈴はいりませんか、大きいのは拝殿の鈴から、小さいのは|鋏{はさみ}の鈴、腰下げからポックリの鈴――新しいのもある、古いのもある。金の鈴、銀の鈴、|真鍮{しんちゆう}の鈴、|銅{あか}の鈴――、|足結{あゆい}の鈴、手の鈴、|釧{くしろ}の鈴、大刀の鈴、鈴鏡。さては犬の鈴、|鷹{たか}の鈴、凡そ鈴と名の付くものなら何でもある――鈴は要りませんかな――」

 ガラッ八は時々|懐{ふところ}を覗いて、|仮名{かな}で書いて貰った口上書を|弁慶{べんけい}読みにしながら、こう言った声を張り上げました。

書籍からの画像で注記のないものは、著作権法上の「引用」の範囲内であるか、著者の著作権が切れて刊行後五十年以上経っているものである筈です。