野口武彦『日本語の世界13小説の日本語』

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野口武彦『日本語の世界13小説の日本語』

野口武彦

昭和五十五年十二月二十日発行

日本語の世界13


第一章 真実と嘘の間 小説とその言語

  小説とは

  小説を書く言葉

  小説は絵空事

  小説発生の一寓話

  シャクが殺されたわけ

  真実と嘘の間

  「小説」という日本語

  東洋小説

  小説文学ではなかった

  諧謔と隠語

  小説先導型の言語改革

  文体は作られてきた

  小説言語の活力


第二章 虚構言語学 小説の「文法」をめぐって

 一 われかく虚構せり

   嘘と虚構

   イエスとノー

   小説言語、法廷に出頭する

   弁護側証人、出廷する

   虚構時制表現

   小説言語の弁別標識

   柳田国男示唆

   近代小説虚構記号

   時制詞「た」の機能

 二 江戸時代小説言語

   小説文法

   小説文法家──萩原広道

   あやことば

   「螢」の巻の解釈

   馬琴小説理論

   「伝奇型」と「写実型」

   小説言語の統辞構造

   広道の理論用語

   「隠微」について

   西鶴に見るモデル

   小説言表類型

   江戸小説のジャンルと言表類型

   小説言語の階級性

   敬語社会の小説

   へりくだりポーズ

   「教訓型」と「自己卑下型」

   江戸小説言語の遣産


第三章 言葉の花式図iー小説言語の理論モデルー1

 一 現代言語学小説言語

   ヴァレリイの省察

   三つの「だれか」

   小説言語構造

   小説の理論モデル

 二 言語の詩酌機能

   言葉の背後の空無

   小説言語詩的言語のちがい

   ロマン・ヤコブソンの詩学

   六つの言語機能

   文学言葉の花である

   花式図

   真実と真実らしさ

   真実らしさを支えるもの

 三 小説意味作用 95

   指向作用と指向対象

   共示言語

   詩的機能ゼロ記号


第四章 近代小説言語成立

 一 江戸小説から近代小説ヘ 逍遙二葉亭

   才子佳人の出会い

   勧懲小説否定

   模写とウガチとの落差

   言文一致小説のはじまり 『浮雲』

   『書生気質』から『浮雲』

   語り手の介在

   驚異的に急速な文体変革

   近代小説言語の奇曠

   二葉亭の到達点

 二 小説言語東洋と西欧Il鴎外と漱々1 

   抒情する一人称

   鴎外雅文調

   「新てにをはなき散文

   抒情的文体の陥穽

   翻訳 近代小説言語の演習

   「文」から「言」へ

   古言の遺産継承

   双生児の処女作

   「結構」け西洋から

   漱石文体漢詩

   漢文脈機能

   漱石の『文学論

   文学の定嚢

   小説言語への肉薄

   「平淡なる写実」の深さ

   『道草』世界


第五章 自然主義小説言語

 一 客観描写言語位相 島崎藤村田山花袋

   無焦点的な描写

   「情緒を離れて情緒を書く」

   小説理論家、田山花袋

   いわゆる「平面描写

   遍満する我執

   岩野泡鳴藤村批判

   田山花袋平面描写

   平面描写の情感性

   写実主義小説言語

   「語ること」と「示すこと」

   自然主義小説言語の特質

 二 写実的主観の言語原理 岩野泡鳴

   泡鳴一元描写

   「破壊的主観」の客観性

   我執なき創作過程

   言表行為としての「悲痛の哲理」

   自己相対化の言語装置


第六章 想像力の言語空間

 一 幻想の意味論 泉鏡花

   「文字そのものがすでに技巧」

   非現実を描く言語

   複合的に作用する詩的機能

   比喩を越えた比喩

   所喩と能喩の等価性

   超現実の言語秩序

  「いまここ」から「いつかかしこ」へ

   言葉がすべてを用意する

   現実に分け入る夢魔

   「個人的神話」の言語空間

 二 深層心理の小説文法 谷崎潤一郎

   鏡花・潤一郎の文章系譜

   フット・フェティシズムの美学

   マゾヒズムと想像力

   サスペンス統辞論

   小説の深層文法

   「女」の超越性をめざす言葉

   物語文脈の再生

   「物語風」の小説育語

   「字面」と「音調

   重層する「語り」


第七章 現代小説言語の諸問題

 一 自我の言葉と自意識の言語 志賀直哉横光利一

   小説言語の現代

   志賀対芥川

   「不愉伏」から「大調和」へ

   自我と言葉との調和

   志賀対横光

   自我から自章識へ

   第四人称の設定

   「伝統といふ地下水」

 二 危機の時代小説言語学-太宰治石川淳i 

   自己同一性の探究

   「道化」の小説言語

   小説パロディ──『女の決闘』

   作家の戯画的自画像

   複雑精妙な話法技巧

   危機からの出発

   「私」という名の空無

   メタ小説としての小説

   饒舌体から純粋散文

 三 小説は観念を描きうるか──大岡昇平武田泰淳

   「抽象概念の欠如」

   観念──人間の限界以上の問いかけ

   ハレーションする言葉

   方法としての失語症

   小説会話と抽象語

   観念と逆説

   「狂気」の言語の現実性

   観念のみがとらえる現実像

 四 言語禁忌の言語化──三島由紀夫大江健三郎

   「宮様」は復活する

   テロリズムの心情論理

   禁忌を頂点とした言語階層

   言語の呪術的機能

   言表状況のパロディ

   「異化」された神格天皇制

   言語禁忌の意味論的解体

   手法としての「場ちがい」


第八章 日本語の近未来と小説──古井由吉と中上健次

   日本語はこれからどうなるか

   作家条件の砂漠化

   小説言語の今日的問題

   統辞論失語症世界

   言葉の病いの反転

   小説言語の生命根源

   掘り起こされた神話的古層

   半・文盲との対決


参考文献

あとがき

索引

書籍からの画像で注記のないものは、著作権法上の「引用」の範囲内であるか、著者の著作権が切れて刊行後五十年以上経っているものである筈です。