詞通路

国語史・日本語史周辺(日本文学・日本史・言語学などなど)の覚書です。
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詞通路

本居春庭

http://blog.livedoor.jp/bunkengaku/archives/50351253.html

http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/syomokukaidai/ka/kaidai_ka135.html

詞の通路 三巻三冊

 本居春庭著。刊本は文政十一年日附本居太平序があって天保四年頃の刊と思はれる。本居宣長全集所収。上巻初めに詞の「つかひざま」を知る事は詞の意味を知る事よりも大事であると量ひ、次に「詞の自他の事」と題して詞の自他を六種に區別した。(一)おのづから然る?、みづから然する?(おどろく)(二)物を然する?(おどろかす)(三)他に然する?(つかはす)(四)他に然さする?(えさする)(五)おのづから然せらるゝ?(おどろかるゝ)(六)他に然せらるゝ?(おどろかさるゝ)而してこの六種は活用の上からは三種になる。(一)同行の活用で自他の分れるもの(解く、解くる)(二)佐行に移りて自他の分れるもへ(驚く、驚かす)(三)羅行に移りて自他の分れるもの(厭ふ、厭はる)以上の如く説明して實例を列擧してゐる。中巻は「詞の兼用の事」及び「詞の延約の事」を説明してゐる。兼用とは「梓弓はるの山辺を越えくれば」に於いて「はる」は一語で張と春との二義を兼用したものであり、延約とは「きく-きかく」「にあり-なり」と云ふ類である。下巻は語句の係結及び詠歌の心得を述べて、最後に「言葉の八衢」の教授法を五ケ條に分けて説いてゐる。本書説く所の「詞の自他の事?」「延約」「兼用」「詞てにはのかゝる所?」或は「八衢」の教授法等その組織的にして精密な點、卓見に富める事等頗る注目に値するもので、就中「詞の自他の事」に於いては、當時は動詞助動詞との區別が出來てゐなかった爲その所説に稍混雜してゐる所があるがとに角自他の區別を爲し、更に自動詞に天然に属するもの、人爲に属するもの、他動詞中にも「を」「に」の二つの目的を要するもの、或は使役・可能・受身の辨別を指示して居る等極めて組織立ったものと言ふべく、又八衢の教授法はヘルバルト?の五段教授法に相通するもので、その獨創的考案は亦國語學史上の一驚異である。彼の「言葉の八衢」は活用の研究として劃期的なものであったが、本書も亦用言の自他に關する研究の源泉を爲すものであって春庭國語学史上に於ける功績不朽を傳へるものである。

【末書】

* 「活語初の栞」一巻 長野義言著。通路の説を敷衍したもので詞の自他延約等を説いてゐる。

* 「活語四等辨」(里水抄?とも云ふ)一巻 天保十四年黒川春村著。詞の通路の説を整理して詞の自他を四等に分けて説く。

* 「活語自他捷覧?」一鋪 横山由清著。安政四年序の刋本がある。通路?の説を整理して圖にしたものである。

* 「詞の通路頭註」三卷 明治十八年權田直助著。通路に關する諸家の説並に自家の研究を書入れたものである。

* 「辭の二道」上中二巻 生川正香著。元治元年刋。

* 「詞通路奧栞?」三巻 富樫廣蔭著。

亀田次郎国語学書目解題」)

書籍からの画像で注記のないものは、著作権法上の「引用」の範囲内であるか、著者の著作権が切れて刊行後五十年以上経っているものである筈です。