筑紫方言

国語史・日本語史周辺(日本文学・日本史・言語学などなど)の覚書です。
最善の説を記録しているものではありません。変な説も記録しています。
書誌として不完全です。
項目の形に規準はほとんどありません*
「検索」ボタンを活用して下さい。 岡島昭浩がやっております。 一部、JSPSの15H01883,18520354などの恩恵を受けております。

筑紫方言

筑紫方言【別表記都久志ことば(都久志古登波)。

著者】不詳。江戸の人で長崎にある程度滞在した人のようで、幕府の役人などかと推定されている。

成立】不詳。ただし、二段動詞の残存について本居宣長玉勝間』巻七からの引用があり、その流布(刊行は文化九1812年)以降のものと思われる。

諸本】現在知られるものは、すべて藤井乙男旧蔵本(現存不明)をもとにしている。『方言』一ノ三掲載のものは藤井本によるものだが不正確な翻刻で、『国語学大系方言二』掲載のものは、藤井本を写した東条摸本による。東条本は、国立国語研究所に蔵されることとなり、後にその影印『近世方言辞書』に収められた。九州大学蔵本も昭和初年に藤井本を写したものらしい。

解説】「九州《つくし》の方言《ことは》」を記録したもので、大まかな意味分類のような形で一六〇あまりの言い方を集めている(三〇項目程度の「追加」を含む)。日向・肥後・肥前島原などの地名が見えるが、主に長崎言い方を集めたものである。上二段動詞について、肥筑では二段の他に一段で現れることがあるが、長崎だけは常に二段で現れると記している。他にも方言雅語の名残を見出そうとする態度が見える。なお、ガ行者が江戸と異なり、江戸連濁の際に「軽く」濁るものを、当地では常に「重く」濁ると記すが、これは鼻濁音のないことを指摘しているものと思われる。また、半濁点とみられるもの(「煎餅せんぺい」など)の他に、同じ形で不濁点として使用するもの(「恥」の項など)も見られる。 

参考文献松田正義『古方言書の追跡研究』(昭53明治書院)・大田栄太郎『郷語書誌稿』(昭58国書刊行会)。古瀬順一他『近世方言辞書第4輯』(平11港の人)    

書籍からの画像で注記のないものは、著者の著作権が切れ、刊行後五十年以上経っているものである筈です。