石垣謙二「助詞「へ」の通時的考察」

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石垣謙二「助詞「へ」の通時的考察」

石垣謙二

文學昭和十八年十月

https://www62.atwiki.jp/kotozora/pages/98.html

 はしがき

 一 接着性と方向性

 二 接着性より方向性へ

 三 方向性の發展

 むすび


むすび

以上を要するに助詞「へ」の變遷發展は、具體的な接着性の捨象、概念的な方向性の抽象といふ事であり、大體鎌倉時代に發して室町時代に完成し現代に至つてゐるのである。即ち、「へ」の進み來つた道は一千年を貫いて唯一筋、具體性の剥落であるといふ事が出來るであらう。一助詞の小やかな變化などが國語の全體系に及ぼす波紋は云ふに足らぬものであるかも知れない。然し渝らざる目的性に沿うて生き貫いて來た助詞「へ」の歴史を省る時、凡庸ではあるが而もひたむきな人間の生涯を見る心地がして捨て難い愛着を覺えるのは私一人のみであらうか。

書籍からの画像で注記のないものは、著者の著作権が切れ、刊行後五十年以上経っているものである筈です。