於乎輕重義

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於乎輕重義

http://dbrec.nijl.ac.jp/KTG_W_117000

おをけいぢうぎ

  於乎輕重義 寫本 二巻 東條義門

 五十音中の、お、を、の軽重を論せり。該二音の發音上に區別無くなりて、綴りの上にても軽重を混亂するやうになりたるより、其の由來用格を詳に論じたり。上巻には證を擧げて、お、を、の所屬を辯じ、下巻には他の諸難に答へたるもの、及び上巻の疑證を質したるもの二十餘項を記述せり。文政十年丁亥〔二四八七〕閏六月の作。

 ◎東條義門の傳は「活語指南」の下にあり。

http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/kokusyokaidai/o/kokusyo_o006.html

於乎輕重義 おをきゃうぢゅうぎ 語學書 二卷寫

著者東條義門

成立文政十年六月五日稿成る。

諸本】黒川本と呼ばれるものと妙玄寺本と呼ばれるものとある。黒川本は、義門自筆の中書本新井守村に與へたのを(この自筆本高島正氏所藏)黒川春村が謄寫したものを云ひ、それが人々に轉寫せられた。妙玄寺本は現に若狹國小濱の妙玄寺に藏するものであるが、これは嘗て京都眞敬寺の藏書を寫したものである。黒川本は明かに中書本である。妙玄寺本に就て高島氏は清書本と斷定せられたが、なほ研究の餘地があるやうである。兩書に多少の異同があるのは云ふ迄もない。

【内容】本書は宣長が「字音假字用格」(別項)の「おを所屬辨」に於て、從來ア行にヲをワ行にオを屬せしめてゐたのを改訂してア行にオをワ行にヲを屬せしめたが、その論證が不十分なのを補つたものである。宣長の論據を義門は整理して三類(古書字音悉曇)八證とし、その中で、證とし難いものを除けば、

(一)古言通音

(二)地名ニアテシ字音ノ轉例。

(三)一音ノ地名ニ二字ヲ用ル定例。

(四)言語ノアヒ連レル中間ニアリテ省カル丶音ノ格例

(五)謠ヒ物ノ餘韻ノ聲調。

以上五つであるとし、著者の研究に依ればなほ十五證を擧げる事が出來ると云つて、これを補つてゐる。即ち宣長の五證に、

(六)悉曇字記ニおヲ阿行トスル義明ナルコト。

(七)韻鏡開合ニツイテおヲ阿行トスベキコト。

(八)漢呉二音ノ比校

(九)直拗二音ニ檢シテをノ和行ナルヲシル義。

(一〇)加行拗音和行音ニ轉ズル義。

(一一)漢語ニツイテおハいニタグヒをハゐニタグヘル義。

(一二)字音う韻ノ和行ノ音ニ轉ゼル例。

(一三)はひふへほわゐうゑをノカヨヒ。

(一四)體言轉音ノ定例。

(一五)發聲ノ音ノ例。

(一六)應答ノ聲笑ヒノ聲。

(一七)あ行ノ音ハ言語ノ中下ニハツカヌコト。

(一八)あいうえおノ五ハ同行相重ルコナキ音ナルコト。

(一九)物ノ音ヲカタドルコトハ和行ノ音ニアリテ阿行ニハコレナキコト。

(二〇)近古マデおヲ阿行トセシモノトミエタルオモムキモアルコト

の十五證を加へ、なほ助證として「反切文字ノコト」「字餘リ歌ノ大カタノアリサマ」の二項を擧げてゐる(以上上巻)。

次に疑難を釋くと標して、初めに當時宣長の「おを所屬辨」を反駁する者があつたので、それらをすべて辯駁し、次に上卷の論證について、自問自答の形式で種々の缺難を出して、これを解決してゐる。

【價値】おをの所屬を改めたのは宣長の大卓見であるが、その論證は不十分な點多く、常時宣長の説に從はず、從前の如くオをワ行にヲをア行に置かうとする學者もあつた。然るに本書出でてかゝる反對論を凡て一掃し、宣長の説に確固不動の根據を與へた。オヲの所屬を改めた事は、音韻假名遣活用等に大きな影響を及ぼしたものであつて、本書は「字音假字用格」と共に、國語學史上に重要な位置を占めるものである。

【參考】世に行はるゝ於乎軽重義の二本及其成稿の時 高島正(佛教研究 大正九ノ四) 〔龜田〕

http://blog.livedoor.jp/bunkengaku/archives/25244466.html

於乎軽重義 二巻二冊

 東条義門著。文政十年稿成る。伝本に「黒川本」「妙玄寺本」がある。前者は義門自筆の中書本の転写せられたもので、後者は清書本と云はれてゐる。本居宣長がその著「字音假字用格」に於いてア行ワ行に於ける從來のお・をの所属を改めた事は大卓見で、音韻假名遣活用等に大影響を及ぼしたものであるが、當初その論證不十分であった爲宣長の説が十分行はれなかった。本書はその宣長の説を補訂し、反對論を一掃し、確固不動の根據を與へたもので、「字音假字用格」と共に國語學史上に重要な位置を占めるものである。

【參考】

* 世に行はるゝ於乎輕重義の二本及其成稿の時。高島正。「佛教研究」創刋號大正九・四。

亀田次郎国語学書目解題」)


http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ho02/ho02_01278/

書籍からの画像で注記のないものは、著作権法上の「引用」の範囲内であるか、著者の著作権が切れて刊行後五十年以上経っているものである筈です。