尾崎紅葉「二人比丘尼色懺悔」

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尾崎紅葉「二人比丘尼色懺悔」

尾崎紅葉

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/995088

 一 此小説は涙を主眼とす

 一 時代を説かず場所を定めず。日本小説に此類少し。いかなる味の物かと好心に試みたり。難者あらぱ。ある時ある処にて。ある人々の身の上譚と答ふべし

 一 文章は在来の雅俗折衷をかしからず。言文一致このもしからずで色々気を揉みぬいた末。鳳か鶏か――虎か猫か。我にも判断のならぬかゝる一風異様の文体を創造せり。あまりお手柄な話にあらずといへど。これでも作者の苦労はいかぱかり。それをすこしは汲分て。御評判を願ふ

 一 対話浄瑠璃体《じやうるりてい》に今時の俗話調《ぞくわてう》を混じたるものなり。惟みるに。これを以て時代小説談話体《だんわてい》にせんとの作者の野心

一 前述の通り。世間在来の文とは。下手なりにも趣を異にすれば。読人一見してつらいといふ。作者は少しもつらからず。我つらからざるを人々何ゆへにつらしといふや。専ら句読をたよりに再読の御面倒を願ふ

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