字音假字用格

国語史・日本語史周辺(日本文学・日本史・言語学などなど)の覚書です。
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項目の形に規準はほとんどありません*
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字音假字用格

http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/kokusyokaidai/s2/kokusyo_si017.html

http://blog.livedoor.jp/bunkengaku/archives/50351318.html

本居宣長

字音假字用格 一巻一冊

 本居宣長著。安永四年刊本、同年春再刊本寛政十一年刊本天保十三年刊本明治二十五年刊本、同二十六年刊本本居宣長全集所收本等がある。但し山崎美成校正天保十三年刊本には三行分生圖、軽重等第圖、字音總論中の二圖等の省略がある。本書は漢字漢音呉音との假名遣を研究したものである。字音假名遣については已に契沖文雄魚彦等も研究してゐるが、專ら字音假名遣について研究したのは本書が最初である。説く所は字音假名遣で最も誤り易いものについて、或はア、ヤ、ワ三行の喉音ア行か根幹である事、從來ア行にを、ワ行におを列ねてゐるがその所屬の誤りである事、或は「字音假字總論」と題して幾多の點に就いて述べてゐる。而して右の「おを所屬辯」に於いて從來の誤を訂正した事は學界に對する本書の大なる貢献である。尤も本書にも誤説の無い譯ではなく我が古音中には總べてん[n]音なくむ[m]音のみであると説いた如きは就中大きな缺點である。(脚結抄呵刈葭參照) 

【參考】

* 「字音假字用格追考?」一巻寫本 富樫廣蔭著。

* 字音假名用格詞の玉緒の刋本につきて。亀田次郎藝文」十七ノ八。*

* おを所屬辨についての一疑問。亀田次郎藝文」二〇ノ七。 *

亀田次郎国語学書目解題」)

じおんかなづかい 一巻一冊 本居宣長(一七三〇・一八〇一) 安永五年(一七七六年)刊 初刊以来、何度も印行を重ねたが、明らかに版の異なるものとして天保一三年(一八四二年)に山崎美成が校したものがある。また松阪の本居宣長記念館には稿本が蔵されている。天理図書館の『宣長翁残芳』中にも本書の前身と見るべきものがある。刊本影印勉誠社文庫昭和五一年)、活字に『本居宣長全集四』(明治三六年 吉川弘文館)、『増補本居宣長全集九』(昭和二年 吉川弘文館)、『本居宣長全集第五巻』(昭和四五年 筑摩書房)がある。和語仮名遣い契沖によって示されたが、漢字音仮字でどう書くべきかは、契沖は一部しか示さなかった。契沖資料字音仮名書きが少なかったことも原因であろう。宣長はこれを*韻書韻図である「*韻鏡」を含む)によって定めた。これは後世、訓点資料等によって古い時代字音仮名書きの例が発見されることにより、訂正されたものもある。例えば「水対」などを「スヰ・ツヰ」としたのは「スイ・ツイ」とすべきであった。また田中大観喉音仮名三異弁』や文雄和字大観鈔』等でも字音仮名を論ずる際にアヤワ三行が問題になることは指摘されていたが、宣長国語古言に詳しいことによって新たな説を出しえた。混乱していたオヲの所属を、ア行に属するのがオで、ワ行に属するのがヲであると、正しく位置付けたのは、漢字音と国語音とを対照させて考えた成果である。後の白井寛蔭『*音韻仮字用例』は、太田全斎『*漢呉音図』などの成果をもとに、撥音韻尾のムとンを書き分けるべきであるとして、これを書き分けなかった宣長を批判しているが、宣長の立場は日本に古来ンが無かったというものなので、書き分けなかったのは宣長の無知によるとばかりは言えない。

参考文献〕〇満田新造『中国音韻史論考』昭和三九年 武蔵野書院)〇築島裕『歴史的仮名遣い』昭和六一年 中央公論社)○沼本克明『日本漢字音の歴史』昭和六一年 東京堂出版) (岡島昭浩

字音仮名遣音韻仮字用例


書籍からの画像で注記のないものは、著作権法上の「引用」の範囲内であるか、著者の著作権が切れて刊行後五十年以上経っているものである筈です。