天童荒太「包帯クラブ」

国語史・日本語史周辺(日本文学・日本史・言語学などなど)の覚書です。
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天童荒太「包帯クラブ」

天童荒太

包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)

包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)


方言を交えてしゃべるのは、わたしたちが『方言クラブ』のメンバーだからだ。「なんじんで」は、どうして、という秋田県の一地方の言葉、「がんずく」は、納得《なつとく》する、という佐渡《さど》の言葉だった。

 中学時代、各地の子どもたちから、方言をインターネットで教えてもらった。自分たちが使う言葉とも、標準語とも違う言葉をしゃべる人が、同じ日本に大勢いる。その事実に魅力《みりよく》を感じ、気に入った言葉を仲間で使うようになった。とくに仲の良かったタンシオ、テンポ、リスキの四人組で、共通の言葉暗号として覚え、人前でも秘密の話し合いができるようになって、面白半分《おもしろはんぶん》、『方言クラブ』と呼ぶことにした。

 もちろん、こまかな用法ニュアンスは使い分けられない。だからこそ、きっとどこのものでもない言葉になる。それが望みだった。ここの、あそこのと、決まった場所に属している住人になりたくない想いが、わたしたちにはあった。

標準語引き 日本方言辞典』(監修佐藤亮一編集小学館辞典編集部/小学館)

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