口語法分布図

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口語法分布図

口語法分布圖 語學書 圖版三十七枚

著者國語調査委員會(但し同會補助委員岡田正美保科孝一新村出の諸氏、調査事務囑託龜田次郎が擔當した)。

【刊行】明治四十年二月。

【内容】本圖は「口語法調査報告書」(別項)の附圖である。明治三十六年九月、國語調査委員會は三十八項の調査項目を擧げて、全國各府縣に調査を依頼した。府縣は約半年の後調査を終へて報告した。その報告を整理して方言分布を地圖に書き表はしたのが本圖である。本圖はもと九十枚から成るものであるが、更に小異を捨てて大同につき、整理して五種三十七枚にしたのが次の如くである。

〔A未來の云ひ方〕。

①書かう、書くべい、書かず等の分布圖(以下「等の分布圖」の五字を略す)

②受けよう・受けう・受けべい、受けずか

③來う、來よう、來《キ》べー、來《コ》うず。

④爲《シ》よう、爲《セ》う。|爲《シ》ベー。爲《セ》ず。


〔B打消の云ひ方〕

(5)ぬ、ない。

⑥來ぬ、來ない。

⑦爲ぬ、爲ない。

⑧なんだ、なかつた。

⑨いで・ないで。

⑩せねば・しなければ。

⑪來まい、來まい、來まい

⑫爲《ス》まい、爲《セ》まい、爲《シ》まい


〔C命令の云ひ方〕

⑬見よ、見い、見ろ。

14受けよ、受けい、受けろ。

⑮來《コ》よ、來《コ》い。

⑯《セ》爲よ、、|爲《セ》い、|爲《シ》ろ。

⑰れよ、られよ、れろ、られろ。


〔D條件の云ひ方〕。

18條件ノ云ヒ方。


〔E指定の云ひ方〕。

⑲だ、ぢや、や

⑳です、どす、だす


〔F活用の形〕

21出した、出いた(佐行四段活用ノ語ノ連用形

(22)拂つた、拂うた(波行四段活用ノ語ノ連用形

(23)飲んだ、遊んだ、飲うだ、遊うだ(麻行四段活用ノ語ノ連用形)。

(24)なされた、なさつた、なすつた

(25)なされます、なさります、なさいます。

(26)讀ませた、讀ました。

(27)寒くなる、宜しくない、寒うなる、宜しうない。

28上二段活用

(29)下二段活用

(30)れる、るる(受身勢相助動詞終止形連體形)。

31させる、さする、さす(使役助動詞終止形連體形)。

32奈行變格活用

(33)(34)(35)漢語動詞ニスル仕方(三種)

(36)せられる、しられる、される(名詞又ハ漢語受身動詞勢相動詞ニシタルモノ)。

(37)ける、せる、てる、へる、ある、れる、ねる(四段活用及ビ奈行變格活用動詞受身又ハ勢相ノ形ヲ約メタルモノ)以上。


なほ「口語法調査報告書」の中に本圖製作の方針、及び本圖の概觀を記してゐる。「概觀」に曰く、

(イ)口語分布は大軆に於て、越中・飛騨ら美濃・三河の東境を界として東西二つに分れる。

(ロ)桑名・唐津・延岡等西方の區域にありながら、東部の口語を用ひて、周囲の語から孤立し、謂はゆる「言語の島《スプラッハインゼル》』をなしてゐる。

(ハ)普通に考へて古形に近いと思はれる語、雅馴に聞える語は概して西部に在る。然し東部にも稀に古形の語が存する。

(ニ)古形の語の多いのは九州が第一で、四國及び中國の西部がこれに次いでゐる

等のことを記してゐる。本圖は「口語法調査報告書」を基礎にして作つたものであるが、この報告書は別頃に記した如く、調査方法にがなりの不備があるから、本圖も亦確定的のものと見ることは出來ない。しかし方言分布の大綱はほぼ知り得るから、國語の地理的研究に裨益すること甚大なものがある。なほ詳細な點に於ては、現在本圖の右に出づるものはない。


【參考】口語法調査報告書

 ○音韻調査報告書

 ○音韻分布圖    〔龜田〕

f:id:kuzan:20110418143435p:image

http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/863753

書籍からの画像で注記のないものは、著作権法上の「引用」の範囲内であるか、著者の著作権が切れて刊行後五十年以上経っているものである筈です。