インターネット言語学情報「書く」

国語史・日本語史周辺(日本文学・日本史・言語学などなど)の覚書です。
最善の説を記録しているものではありません。変な説も記録しています。
書誌として不完全です。
項目の形に規準はほとんどありません*
「検索」ボタンを活用して下さい。 岡島昭浩がやっております。 一部、JSPSの15H01883,18520354などの恩恵を受けております。

インターネット言語学情報「書く」

インターネット言語学情報

「書く」

岡島昭浩

言語』29巻5号(大修館書店)平成12年5月1日 p107-106


 いわゆる言語学の情報ではなく、言語生活の情報になるが、今回は「書く」ことについてのページを紹介したい。

 文章というものはなかなか上手にかけるようにはならないものだが、以前は、学校教育での指導は、小学校以来の作文教育、受験勉強としての小論文指導といったものぐらいしかなかった。その他には、文化講座などでの文章教室ぐらいだったのだが、近年のこととして、大学でちゃんとした文章が書けるようにしよう、ということが盛んに言われるようになってきた。以前であれば、レポート卒業論文の指導の一環として行われることになっていたが、そのような文章書き方カリキュラムに組んで教えているところが増えてきていることはよく報道されることである。インターネット上にも、そのような取り組みに関わるページがある。

 高知大学では、全員必修の課目として「日本語技法」を開講しているということだが、それについてのページが「日本語技法の広場」( http://sc1.cc.kochi-u.ac.jp/~yoshikur/gihou.html )である。そこから、いろんな大学での取り組みなどへもリンクしてある。

 富山大学の向後千春氏( h ttp://kogolab.edu.toyama-u.ac.jp/ *)は、「言語表現」の授業の中で日記を書かせる試みをしている。これはただ、ワープロ日記を書かせて提出させる、というのではない。受講生同士がお互いに読みあうということを想定した日記を書かせるのである。これは、インターネット上に公開されているweb日記から生れた発想である。

 インターネット上には公開されている日記が多数ある。「日記」という名称ではあるが、その日に起きたことを書き記すものだけではなく、毎日なんらかのテーマを決めて書いている人もある。「日記」のページに行けば、毎日新しいことが書かれている、というのが、日記ページの魅力の一つである。

 また、web日記は、インターネット上に孤立して存在しているのではなく、まさにwebであり、関連しあって存在していることが多い。人を引き付けるweb日記は、リンクされたり引用されたりして、他の日記で言及される。人に引用され、参照されるようなweb日記を書こうと言うので、web日記文章の練習にもなるのである。文章の練習のためであるのなら、公開の範囲はインターネットではなく、閉じられたネットでもよいようだが、イントラネットでは内輪受けにすぎないものが面白がられる可能性もある。インターネット上に公開するとなると、見知らぬ人が読むかもしれないという緊張感から、そのようなものはある程度排除されることが期待される。

 web日記は、人に読まれることを前提として書く日記であるので、ひとりよがりの表現は避けられるし、多数の人に読んでもらいたいという思いもあって、人を引き付ける話題に加えて、わかりやすい文章を書くということをこころがけるようになるようである。とはいえ、意味不明系といわれながらも読者をひきつける日記もあり、そのあたりは一筋縄では行かないものである。

 具体的なweb日記を読んでみるには、日記猿人( h ttp://www.wafu.ne.jp/ne/ **1)に行けばよく、そこには多数の日記がリストアップされている。あまりの多さに驚かされるだろうが、2月末現在で6730ほどの日記が登録されている。これらがすべて毎日更新されるわけではないが、全日記に毎日目を通すことはとても不可能な数である。しかし、その中から自分の好みの日記が次第に定まってくる。そして好みの日記紹介している別の日記が新たに好みに加わることもある。

 web日記がどのようなものであるのかを考えようという、日本web日記学会( h ttp://www.akao.to/diary/ *)がある。1998年からあるものだが、今年になって基調報告が載せられるなど、動きはじめたところである。

      (おかじまあきひろ 日本語史日本語学史

*1日記才人も2007に閉鎖*

書籍からの画像で注記のないものは、著者の著作権が切れ、刊行後五十年以上経っているものである筈です。