てには網引綱

国語史・日本語史周辺(日本文学・日本史・言語学などなど)の覚書です。
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てには網引綱

てには網引綱 二巻二冊

 栂井道敏著。明和七年刊。後著者の「蜘のすがき」二巻と合冊して「詞のあきくさ」四巻と題して文化十一年刊。従来の「てには」に對する解釋の誤なることを指摘して「てにをは」は所謂「オコト點」から出でたものであると主張し、従来の諸書を廃し、唯八雲御抄を擧げて手爾波大意を知る參考書とし又秘伝・口訣の類を斥けてゐる。本文に於いては「て、に、を、は、そ、こそ、と」以下「つる、つれ、つ、つゝ、哉」に至る等項を分けて一々の意味用法を説き、古歌を例証に引いてゐる。又てにをはの効用について概括して居る最後の「てには用意の事」の條中では一語で獨立した意味を有って居る詞と、然らざる手爾波とを区別してゐる。この事は手爾波の範疇を定めたもので、品詞の分類が十分でなかった当時として猶不十分な点もあるが、手爾波研究上に一時期を劃するものであり、手爾波は「オコト點」から出たと云ふ説と共に注意すべきものである。その他呼應の研究「手爾波大概抄」「春樹顕秘抄」等を信ずるに足らずとした説、秘伝口訣を断然排斥した事等新説卓見に富むもので、宣長以前のこの種の書として最も優れたものとして特筆すべきである。

亀田次郎国語学書目解題」)

http://www.library.toyama.toyama.jp/yamadadl/4548_1/index.htm

http://www.library.toyama.toyama.jp/yamadadl/4548_2/index.htm

書籍からの画像で注記のないものは、著作権法上の「引用」の範囲内であるか、著者の著作権が切れて刊行後五十年以上経っているものである筈です。