【何が悲しくて】

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【何が悲しくて】

新野直哉「「十年早い」「何が悲しくて」」



http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/menicuita/9608.htm#21



第283回近代語研究会

    定型表現「何が悲しくて」続考

     ―「かなし」における語義の伏流―

                 二松学舎大学 島田泰子




「え? 俺が自殺だと、馬、馬鹿なことを。これほどに働いて、何が悲しくて自殺などするものか。俺はこれからゆくところがある」

長谷川伸『紅蝙蝠』徳間文庫(昭和五年初出) p.492


 だれだい、俺の満州行きを物見遊山かといってるのは。冗談じゃないよ、そんな余裕があれば、何が悲しくって零下四十度なんて、酷寒の、発展の途上といったって、事実は朔風天地を裂く荒野じゃないか、あんなところへなんか行くもんか。

 なのに歌笑はトテツもない美人を女房にした。何か事情があるんだよとか、[…]、それでなけりゃ何が悲しくって歌笑ンどこへなんぞへ行くもんかいてのが大方の噂だった。

同書

何が悲しくって満州くんだりへ、それも知らないやつの手で行かなきゃならないんだ。行くもんかッ

同書

エジソンは実は酒が好きなんだ。そのエジソンが、何が悲しくってヨーロッパで、電気飴の器械を発明しなきやならないんだ

「そもヌッポンズンは……」[…]「なにが悲しゅうて、そないにやたら、ガチャガチャと働きはるのであるか?」

小松左京『ゴエモンのニッポン日記』「時間とスピードを食べる」


『極道の妻たち』真琴姐さん(1986年)〈家田荘子〉「あれから七年。クソッタレ、何が悲しゅうて、こんな世界の人間と一緒になったんやろか」

米川明彦『日本俗語大辞典』「くそったれ」の項所引

二十年ほど前、哲学者の梅原猛が著作集を出したときにインタヴューを受けて、「何が悲しゅうて、何がうらめしゅうて、こんなに書いたのかねえ。[…]」というようなことを言っていた(『青春と読書』)。


これは本気なのだろうか。いったい何が悲しくて〈多感な号笛〉や〈共存する花園〉や〈気温と餅網〉の物語を私たちは捏造しなければならないのか。


一体、小泉総理は何が悲しくて法務大臣に南野大臣を抜てきされたのですか。

衆議院会議 第百六十一回 平成16.11.2 樽井良和

書籍からの画像で注記のないものは、著作権法上の「引用」の範囲内であるか、著者の著作権が切れて刊行後五十年以上経っているものである筈です。