『日本/百科大辞典』

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『日本/百科大辞典』

『日本百科大辞典』



名著普及会が復刻したもの

19081916


明治41年 大隈重信

凡例

一、本書は、社會のあらゆる事物に關する語を汎く蒐集してこれが解釋を施したるものにして、其の收むる所、古今を極め、東西に亙れり。

一、本書載する所の事項は、我國及其他東洋諸國に關するものを主とし、其の西洋に關するものは、我國人の社交上及一般家庭に必要なるべしと信じたるもののみに止めたり。

一、語辭は歴史的假名遣に從て五十音順に排列し、其發音的假名遣を本語の傍に附記し、而して「ん」は最後に、「ー」は「ア」の前に、濁音正音の次に、半濁音濁音の次に出だせり。

一、語辭の見出しは一般に平假名による定めなれど、外國語漢音呉音外の字音とは、すべて片假名となし、其語原の判然せざるものは、平假名に從へり。

一、語辭は、固有名詞のほかは語根により「-」にて分ち其辭義の由て來る所を示したれど、其語辭の熟語となりたる場合には、其連結の所にのみ「-」を附することとせり。例へば「あか-ね」「あかね-くわ」の如し。

一、外國語にはすべて原語を附することとし、其原語はこれに伴へる本國語を附したれど、語形語尾些少の相異のみなる場合には多くは英語のみを附したり。

一、外國より來りたる語にして譯語の略一定せるものは、多くは譯語の下に出だしたれど、また其原語音をも其語順の所に出だし、以て語辭捜索の便に供せり、

一、外國の地名人名發音は、主として明治三十五年十一月十五日の官報紙上にて發表したる文部省の規定に從ひたるも、英語Vの音は「ヴ」とし、shの音は「シ」とし、キァ・チァ・キゥ・チゥ等の音はキャ・チャ・キュ・チュとして表はすこととせり。尤もイギリス・フランスドイツ地名人名文部省の規定によらず成るべく本國音を採用したれど、我國に舊くより言ひ慣れたるものは、本國音を採らずして我國の慣用音に從ひたるもの少なからず。例へば、「プロシア」・「イギリス」の如し。又アジア トルコ・ペルシア・アラビア等の人名地名の讀方は多くはこれをローマ字讀みにせり。

一、外國の人名地名を各、其本國語音にて表はす場合に、我國一般人士の耳に慣れざるべしと考へらるるものは、便宜其本國音綴のほかに英語綴を附記したり。例へば

の如し。

一、外國の人名地名にして其見出し發音通りの音にて示し得ざるもの、又發音通りに示し得べきも我國人の見慣れざるものは、便宜上英語のみを挿入したること少なからず。例へば「ペテロ」()の如し。

一、外國語日本假名にて表はすには、英語音j.z及jの如くに發音するgはすべて「ジ」に、diの類はすべて「ヂ」にて示すこととせり。又英語音je及jeの如くに發音するgeは「ジェ」にて表はしたれど、本邦にて從來訛り用ふるものは、我國の慣用によれり。例へばJerseyを「ゼルシー」としたるが如し。英語母音の次にある「r」は多くは前母音に結び附けて「ー」にて表はし、大陸的外國語の「r」は、多くは「ル」と發音せり。例へば「アーカンソー」「アルコン」の如し。但し我國の一般社會若くは專門社會にて普通に言ひ訛れるものには、此例に因らざることあり。又Xはすべて「クス」の發音を採り、ye・jeを「エ」と發音する場合には、多くは「イェ」とし、P・b・m等脣音の前にあるmは、「ン」とせり。

一、外國の原語を記すには、一般にローマ字體を用ひたれど、便宜上ドイツ語フランス語.ラテン語は別體活字にてこれを表はせり。()

一、同一語原にして語辭の義異なる場合には、(一)(二)(三)等の符號を以て其區別を示し、又其辭義中の細別は更に(い)(ろ)(は)等の符號にてこれを區分し、以て捜索に便にし、且語辭相互の關係を知らしめたり。

一、度量衡・貨幤等の名稱は、我國の一般社會に用ひらるる略語を用ひ、大抵其傍にを附記せり。例へば磅《ポンド》・瓦《グラム》・米《メートル》等の如し。

一、我國人の生歿は其説明中に年號にてこれを示し、外國人の生歿は説明の終尾に西洋紀元にてこれを示し、支那人朝鮮人の生歿は説明中に年號にて表はし、且必要と認めたる場合には西洋紀元を其説明末に附記せり。

一、字音にして邦人多數の誤りめるものは、すべて其の正しき音に從ふこととせり。例へば褶曲を「しふきょく」の條に説かずして「てふきょく」の條に説けるが如し。尤も其訛音をも亦其語順の所に出だし、以て搜索に便にせり。

一、本書編纂後統計及官制等の變更ありたるものは、印刷中成るべく新に從ひ改訂したれど、海外に在る寄稿者の原稿は其變更の明かなるもののほか、すべて寄稿當時のものを收めたり、

一、外國語母音にして、長く引きて發音すべきものも、我國人多數の唱へ慣れたるままに便宜上短音にて表はしたること少なからず。例へば「エンサイクロピーヂア」とすべきを「エンサイクロピヂア」としたるが如し。

一、日本人中現代人の傳記は多くは省略に從へり。

一、主なる解説の終尾には寄稿者の署名を附することとしたれど、一項目の説明に數人寄稿のものありてこれを總合したる場合には、主要の事項と雖も往々署名を省けり。而して解釋の始に其科名の符號(例へば〔動〕・〔植〕等)を冠せるものは執筆者明かなるを以て、特別のもののほかは署名せざるも、唯、伊藤理學博士起稿植物學中同博士獨創の見あるものには、符號あるに係はらず更に署名してこれを區別せり。

一、本書編修顧問中坪内文學博士は、專ら演藝に關する事項の顧問を擔當せらる。

一、寄稿を受けたる項目に對しては、印刷中すべて寄稿者の校正を經る筈なりしも、寄稿者中旅行其他種々の故障ありて印刷進行上に遲滯を來す虞ありしを以て、第一卷中「う」以下は編輯所に於て校正の責に任ずることとせり。

一、索引には字音索引ローマ字索引・學科分類索引等を附し搜索者の便に供せり。

一、本書の編纂に關し、官省・學校・會社・銀行・社寺等に最近の統計・縁起類の報告を求めたるに、いづれも本書編纂の趣旨を賛し、快く貴重書類を送附せられ、本書編纂上に便宜を得たること少なからず。竝に謹で其厚意を謝す'。


第2巻冒頭

 本書第一卷は圖らずも江湖の注目を惹き、各方面の識者より多くの同情ある批評と警告とを賜はれるは編者の洵に感謝して已まざる所なり。編者自ら揣らずして此事業に着手せし以來、幾多の困難と戰ひて一意當初の企望を遂行せんと努めしも、編者の微力なる、今日の我國に於てよくかくの如き難事業を成就し得るや否やを疑へること屡、なりしに、今や第二卷を發刊するに至れるは、偏に江湖の同情と總裁・顧問及寄稿家諸氏の助力とによれり。而して第二卷に於てはこれら大方の忠言に顧み、種々の點に於て其不備を補ひたるのみならず、諸方特志の士が本書のために種々の貴重なる資料を貸與せらるゝありて、本書編纂上に少なからざる便益を得たり。各科分擔執筆者は第一卷に於て二百四十五家を算せしが、第二卷に於ては更に三十六名を加へ、圖版の數も第一卷に於ては六十四枚なりしが、第二卷に於ては更に十數葉を増し、叉卷中頁内に挿入せし木彫・網目版の小畫は約二千三百箇に上れり。第一卷にては往々執筆者印刷校正を請ひ得ざりしものありしかど、第二卷に於ては親しく其校正を經て苟くも誤謬なからんことを力め、且官公衙・會社・學校・病院・神社・佛閣・諸團體等に關する事項、歴史的・地理的記録及統計材料・系譜等の類は、すべて直接の關係者又は其地の郡市長・町村長・各種學校長・視學諸氏に懇囑して其修正を仰ぎたり。爰に第二卷の發行に臨み、直接・間接に助力を與へられし諸氏に感謝の意を捧ぐ。



第7巻冒頭

 本大辭典は第六卷刊行後前出版者の事情のため其編纂事業を中止すること三星霜に及びぬ。國家的事業として社會の屬目するところたりし本事業をして中道廢絶に歸せしむるは國民文明の爲又學界の爲誠に惜むべきを思ひ、曩に有志相謀りて本會を組織し、以てこれが繼續刊行を企畫するところありしに、岩崎久彌男・岩崎小彌太男・井上周氏・石川照勤氏・原富太耶氏・徳川頼倫侯・紳田〓藏氏・川西清兵衞氏・田村市郎氏・武藤山治氏・久原房之助氏・山ロ吉郎兵衞氏・藤田平太郎男・吉川重吉男・湯淺竹之助氏・三井八郎右衞門男・三井八郎次郎男・澁澤榮一男・廣岡惠三氏を始め、第一卷以來の編輯主任者齋藤精輔と同縣・同郷の先輩・友人たる長谷川正五氏・小田庄吉氏・渡邊世祐氏・辻川敏三氏・野村一郎氏・藤岡市助氏・佐伯勝太郎氏・新庄吉生氏・重宗芳水氏(以上氏名いろは順)等の出資協賛せらるゝあり、又同情ある學者諸氏の別に一團を作りて援助を與へらるゝあり。昨年初夏本卷の編輯に着手したるに、執筆者諸氏亦義侠的に本書の爲に盡さるゝところありて、編纂上に少なからざる便益を得、今や印刷工を竣へ、こゝに本卷を發行するを得たり。かく本事業繼續の實を舉げ目的遂行の一階段を履み得たるもの、是偏に上記諸氏の同情的協賛と義狹的後援とに因る。後卷を續刊して全部を完了する亦期して待つべし。本書最終卷に於て本書の經歴を述ぶるに當り、委しく其顛末を述べて、直接間接に本書の完成に助力せられたる諸氏の芳志を永へに傳ふべきも、こゝに本卷の發行に際し、聊か其一端を叙して感謝の微意を表す。

大正五年三月

日本百科大辭興完成會

書籍からの画像で注記のないものは、著者の著作権が切れ、刊行後五十年以上経っているものである筈です。